「少子超高齢社会」、「2025年問題」に象徴されるように、今後の日本の総人口の減少と人口構造の変化によってもたらされることになる近い将来が非常に不安視されています。しかし、これは平均化した日本の問題であり、特に人口が集中している大都市とその周辺地域に焦点があたっています。一方、地方の市町は、近い将来その存続さえ危ぶまれている状況であり、「将来の問題」ではなく、今まさにその渦中にあります。また、同じ広島県内でも地域によって文化や社会資源に相違があり、狭い広島県でさえ均一化して議論することはあまり意味を成しません。住民が年齢に関係なく安心してその地域で暮らしていくには、それぞれの日常生活圏域の特性に応じた個別の対策が必要になります。

現在も将来もそれぞれの地域で暮らしている住民をいかに支えていくのか。ニーズは多様であり、世代により異なると同時に変化もします。ある専門領域だけでは到底対応できません。「人生・生活」を支えるために「医療」「保健(予防)」「介護」「福祉」(勿論「教育」「子育て」「経済」「交通」もですが)は非常に大切な専門領域です。きょう必要がない人でも明日必要になるかもしれません。どの領域も専門性を極めていくことの重要性には変わりありませんが、全世代の刻々変化する「人生・生活」を支えていくには、各専門職のみならず地域住民、行政が協働して個々のニーズに応えていくそれぞれの日常生活圏域におけるネットワークの形成が重要になります。そのネットワークには地域性・個別性というミクロの要素と総合性というマクロの要素の両方の面が必要になります。

そのネットワークこそが「地域包括ケアシステム」です。“みつぎ”の「地域包括ケアシステム」はハード面では「地域」を中心として①医療機関であるみつぎ総合病院・有床診療所、②介護関連施設群である保健福祉総合施設、③行政及び在宅部門の拠点である保健福祉センターが連携し、ソフト面ではその人の「人生・生活」を支えるため①保健(予防)、②(急性期も含む)医療、③介護・福祉を統合しています。国はこの国難とも言える状況に対する施策として「地域包括ケアシステム」という道を選びました。そして、各地域に「地域包括ケアシステム」を確立していくことに躍起になっています。その「地域包括ケアシステム」の生みの親であり、名付け親が山口昇名誉院長・特別顧問です。尾道市御調町はこの「地域包括ケアシステム」発祥の地であり先進地です。

公立みつぎ総合病院(事業体)は今後益々その重要性が認識される「地域包括ケアシステム」の構築を基本理念に掲げ、全世代の住民の方々に「この地域で暮らして良かった」と言っていただけるよう今後も全職員が一丸になって努力して参ります。 地域住民の皆さま、関係各位におかれましてはご指導ご鞭撻のほど何卒宜しくお願い申し上げます。